一般社団法人わたしらしく生きる認知症ネットワーク
代表理事/認知症とともに生きるパートナー 佐藤 麗子


「認知症になっても、わたしらしく生きる」社会へ

日本では、85歳を超えると2人に1人が軽度認知障害(MCI)または認知症になるといわれています1
これは、誰もが年齢とともに記憶や判断の変化と向き合う時代に生きているという現実を示しています。
認知症は、もはや特別な出来事ではなく、すべての人にとって身近なテーマ。
私たち一般社団法人わたしらしく生きる認知症ネットワークは、
「認知症になっても自分らしく暮らしを続けられる社会をつくる」ことを目的に、
理解を深める活動、学びの機会の創出、そして“ともに生きる仕組み”の構築を柱として取り組んでいます。

「支える」から「ともに歩む」へ

私たちは、認知症のある方を「支えられる存在」としてではなく、
地域の中で役割を持ち続ける“主体的な存在”と捉えています。
年齢や立場を越えた交流を通じて、誰もが自然に関わり合える「居場所」を育み、
外に出るきっかけや人とのつながりを生み出していくこと。
それが、私たちの活動の原点です。

一方で、認知症とともに生きるご家族や周囲の方々が、
不安や迷いを抱えながら日々を支えている現実もあります。
私たちは、そうした方々が安心して前を向けるよう、
“家庭の備え”としての 「認知症BCP2」 にも取り組んでいます。
これは、本人・家族・地域が一体となって「その人らしい暮らし」を守るための実践的な仕組みです。

「支える」から「ともに歩む」へ。
この発想の転換こそが、これからの社会に求められていると考えています。

「その人は、そこにいる」——多様な生き方を尊重して

認知症に向き合うことは、時に不安や悲しみを伴います。
しかし私たちは、その中にも“気付き”と“笑顔”を見いだしたいと考えています。
年齢を重ねるほど、生き方も価値観も多様になるーーだからこそ、画一的な支援ではなく、
一人ひとりに合った選択肢を大切にすることが必要です。

認知症になっても、その人は、確かにそこにいるのです。
できないことに目を向けるのではなく、
その人らしさを取り戻すきっかけや、心が動く瞬間を見つけていく。
それが、私たちの考える「わたしらしく生きる」ということです。

そしてそのプロセスには、いつも少しの“ユーモア”があります。
ユーモアとは、軽さや冗談ではなく、人と人をつなぐやわらかな気付きです。
その気付きが、認知症になっても笑顔でいられる社会を育てていくと信じています。

ともに「笑顔の未来」を創るために

この活動は、ひとりの力では成し得ません。
家庭で支える人、地域で関わる人、企業や行政の皆さま、
そして認知症のご本人が、それぞれの立場から少しずつ行動を起こすことで、
社会全体が変わっていくと信じています。
私たちは、誰もが安心して歳を重ねられる未来、
そして認知症になっても笑顔で暮らせる社会を目指し、
これからも歩み続けます。

代表者略歴

佐藤麗子

一般社団法人わたしらしく生きる認知症ネットワーク
代表理事/認知症とともに生きるパートナー 佐藤 麗子

慶應義塾大学経済学部卒業。
MSD株式会社およびサノフィ株式会社において、約18年間にわたり医薬情報担当者(MR)として臨床現場に従事。
営業所長やマーケティング部門(東京・パリ)を経て、国内外で医療・ヘルスケア領域の事業戦略に携わる。

2018年より株式会社フィリップス・ジャパンにて医療機器のマーケティングを担当。
企業での経験を通じて、医療と社会のつながりをより身近な形で実現したいと考えるようになる。
その折、母がアルツハイマー型認知症と診断され、当初は戸惑いもあったが関わりを重ねる中で、
認知症になっても「できること」は数多くあり、環境や関わり方次第で、人は笑顔で暮らし続けられることを実感。
認知症を美化することなく現実を見つめながらも、
「できること」に光を当てることで、本人も家族も前を向ける社会をつくりたい——
その想いが、現在の活動の原点となっている。

そして、その気づきは次第に個人的な経験を超え、人生の後半戦における日本の重要な社会課題として、
「認知症とともに生きる」ことに正面から向き合う決意へとつながっていった。

2025年4月、一般社団法人わたしらしく生きる認知症ネットワークを設立。
代表理事として、認知症のご本人とご家族が「わたしらしく生きる」ためのソーシャルビジネスを推進している。

【保有資格】
• MBA(経営学修士/University of Massachusetts Lowell)

出典:「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」平成26年度 厚生労働科学研究費補助金特別研究事業より算出
2 認知症BCP:BCP=Business Continuity Planの略。認知症BCPは企業が災害や危機に備える計画を、家庭や暮らしに応用したものです